適正使用ガイド

イムセラの投与を開始する前に

【効能・効果】、【用法・用量】の確認

【効能・効果】
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制

<効能又は効果に関連する使用上の注意>
進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

【用法・用量】
通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する。

下記に示す患者背景では、イムセラの有効性及び安全性が確立されていません。イムセラの治療効果を十分に発揮するためにも、下記の患者背景を確認してからイムセラの投与を検討してください。

イムセラの有効性及び安全性が確立されていない患者背景

  • イムセラの国内外の臨床試験では、ほとんどが再発寛解型多発性硬化症の患者を対象としているため、「進行型多発性硬化症」に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていません。
  • 国内臨床試験では、「抗アクアポリン(AQP)4抗体陽性例」に対する有効性及び安全性は確立されていません。国内臨床試験に組み入れられた抗AQP4抗体陽性4例では、いずれも原疾患との関連が疑われる重篤な有害事象(胸部不快感、多発性硬化症再発、白質脳症、視神経脊髄炎)が報告されています()。
  • 国内臨床試験では、「脊髄長大病変」を有する例が除外されていたため、「脊髄長大病変」を有する患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていません。

表 抗AQP4抗体陽性4例における副作用〔国内第Ⅱ相継続投与試験〕

症例 イムセラ投与量 治療法 重篤な副作用(発現時期*1
0.5mg/日 イムセラ12ヵ月投与 徐脈(4日後)、胸部不快感(4日間)
1.25mg/日*2 心拍低下(1日後)、MS再発(5日後)、
心拍低下(5日後:薬剤中止の1日後)、
肝機能検査異常(78日後)、MS再発(83日後)
0.5mg/日 プラセボからイムセラへ切り替え 視神経脊髄炎[NMO]
(イムセラ切り替え29日後)
1.25mg/日 白質脳症
(イムセラ切り替え10日後)*3

Kira J et al: BMC Neurology 14: 21-31, 2014

*1:イムセラ投与開始後の日数
*2:78日以降は投与を中止
*3:進行性多巣性白質脳症は否定された

国内第Ⅱ相継続投与試験

【対象】
国内第Ⅱ相試験(6ヵ月)に登録した日本人再発性多発性硬化症患者168例(うち継続投与試験にも登録したのが143例)
【方法】
国内第Ⅱ相試験において、イムセラ0.5mg及び1.25mg群であった患者については、イムセラの投与をそのまま6ヵ月間継続投与し、プラセボ群であった患者についてはさらに無作為に2群に割り付けた後、イムセラ0.5mg又は1.25mgの1日1回経口投与に切り替えられ、それぞれ6ヵ月間投与した。(試験期間は12ヵ月)

※:本邦におけるイムセラの用法・用量は、1日1回0.5mg
Kira J et al: BMC Neurology 14: 21-31, 2014

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